"Beyond the Black Rainbow" 部屋の隅にうずくまるエレーナ

映画”Beyond the Black Rainbow” (2010) レトロでダークな迷宮逃走

好きな人は好き、という万能フレーズ

今回は2010年映画 Beyond the Dark Rainbow (パノス・コスマトス監督 日本未公開)を紹介します。個人経営のビデオショップで見つけたVHSからどことなく漂うカビっぽい背徳感に懐かしさを感じる、そんな人にはおすすめのSFホラーです。残念なことに日本では未公開ですが、その気になればAmazonで輸入DVDを買える程度の希少加減。ローカライズは絶望的。とはいえセリフも殆ど無いので特に問題にはならないでしょう。物語としても、怪しい研究施設にずっと閉じ込められていた謎の少女が逃げ出すというシンプルなもの。幸薄そうな美女が白目向いたり不気味な大男? に追いかけられるシチュエーションに興奮する人は個人輸入すると良いと思います。

 

映画Beyond the Black Rainbow 赤い謎の追手
レトロフューチャーの浪漫

テンポはゆっくりしていて正直言うと悪い部類。ただそれも息が詰まる閉塞感の演出と言われたら閉口するしかありません。良い意味で2010年代に公開された映画とは思えない科学とオカルトを混ぜ合わせたレトロフューチャーな美術、配色やカメラワークが美しいのですが、それすらゆっくりすぎてダレてしまうのがもったいないと感じます。110分ほどと決して長過ぎる尺ではありませんが、観てる間の時間感覚が麻痺するほどにジリジリと進行していきます。せっかくの良い雰囲気なので、ちょっと巻いてテンポをよくするだけでより沢山の人が楽しめる作品になると思うんですけどそれは監督の方針ではないようです。スローペースに合わせてぼんやりと眠くなりそうになりながらの浮遊感と悪夢感が似合うトリッピーな映像は、時間を気にせずにいられる環境で、部屋を暗くして画面に近づいてみるのが正解なのでしょう。

 

映画Beyond the Black Rainbow 幸薄気な謎の少女エレナ
派手なVFXは無く、じっくり赤と緑のコントラストを柔らかなフォーカスで覗くことができる

日本で流通もしていない手軽におすすめもできない映画ではあるんですけど、じゃあなんで紹介したいかといったらこの主人公がとても魅力的だからです。施設に閉じ込められて薬漬けにされている少女エレナを演じるのは エバ・アーラン 。無機質な世界観がよく似合う霊的な雰囲気を持った女性です。きっと色んな設定がある映画なのですが、それが説明されたりすることはありません。セリフも無い表情だけの演技ながらも、神秘的な力の説得力を感じさせるのは彼女のオーラあってこそだと思います。

 

映画Beyond the Black Rainbow ガラスに映るエレナ
超能力の説明が無くても、使うシーンが少なくても、使えそうだと思えてしまうたたずまい

私がこの映画を観たのはアメリカにいるときの学生主催のホラーナイトに参加したときでした。ずーんと重々しくゆっくり進む展開に、よくわからない抽象的なイメージや、拍子抜けするほどチープでシュールな結末。観終わった後の感情の処理に困りながら、その状況を心地よかったと言えるか、つまらなかったとまとめるべきか。自分にとってもあの上映会に行かなければ知ることのなかった作品だと思います。それでも観てから数年経ったのに何故か覚えているインパクトはありますし、つまんなくても綺麗だから観ちゃうって感覚は中々味わえません。日本語で感想書いてる人も少ないので、とにかく主人公が好きだよということをここに共有しておきたいです。

 

 

監督・脚本

Panos Cosmatos

出演

Michael Rogers

Eva Allan

 

 

 

 

トレーラーです。

私が観たのは2014年~2015年のあたりなのですが、IMDbだと2010年、トレーラーだと2012年ってことになってますね。音楽が密かにかっこよいです。

 

 

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