映画『ファウンド』(2012) ホラーめくホームドラマは流血多めの兄弟あるある

家族ってこういうところありますよね。

最近 E3 2018 1がありましたね。PS4を未だ買っていないのですが、この秋からのラッシュが凄まじいのでそろそろ買うか本気で迷っています。スパイダーマンもKH3もPCじゃ(今の所)リリースされませんからね……。シリーズ物のゲームが発表されると前作をプレイしていた頃の思い出が蘇ります。KH2をプレイしたのはいつだったことでしょう? PS3 が出る前ですから第二次性徴期迎えてたかすら危ういです。その頃は兄はまだ大学に行く前で一緒に住んでいて、セーブデータシェアしてたのでエンディングを先に見てしまって怒られた記憶があります。思えば兄とはゲームを巡って色々ありました。ポケモンの御三家揃えるために開始から交換可になるまでデータ消去マラソンさせられたり、スマブラで執拗にメテオされるのが気に食わなかったのでドンキーで掴んで道連れ投身自殺したら次からピカチュウで近づくことすら許されず落雷攻めされたり2、パソコンの履歴を隠蔽したらうっかり兄が遊んでたブラウザの経営シミュのキャッシュも消しちゃったり、逆に履歴消さずにおいたら小学校で流行ってた反社会的Flashの履歴が残ってて兄が見たのだと父親が説教してる場面に出くわしたり。うちは個人でテレビやパソコンを持つ家庭ではなかったのでテレビはいつも争奪戦3。テレビが置いてある和室のふすまは兄や私がゲームしながら背もたれていたせいで和紙が背中型に剥げているのですが、兄も私も実家を巣立って十数年経とうとしているのに未だ直されていません。

 

私は兄のジャンプを勝手に読むのが習慣でしたが、マーティ君はその上を行きます。

家族というのは一つの家に住んでいるとはいえ自分とは異なる思考をする別個の生物で、今思えば辻褄を合わせて整合化できる心の動きも当時は何故イビられたり優しくされたのか分からないものです。そういうわけで Netflix で見つけたホラー映画『ファウンド』(原題: Found. 2012年公開)の主人公マーティ君には深く共感するものがあったので今夜ぜひ紹介したいと思います。以下あらすじ:

優等生だがいじめられっ子の少年マーティの趣味は、友達と考えたダークヒーローの漫画を描くことと、家族の秘密の持ち物を覗くこと。お母さんはベッドの下に昔の恋人の手紙を隠している。お父さんはガレージにエロ本を隠している。お兄ちゃんはクローゼットに生首を隠している。

開始2分で暴かれる兄が連続殺人鬼という事実。よくあるホラーならもっと仰々しく演出してバーンと見せつけそうなものですが、本作ではそういった脅かしはなくマーティ君は淡々と兄の猟奇的秘密を覗き見ます。全編通しても音でびっくりさせたりすることの無い壁の薄い一人暮らしに優しいホラーでした。製作費は8000ドルとのこと。甘い見積もりで換算しても100万円以下の低予算インディー映画が放つ画面の空気感は、画質のせいかカメラワークのせいかどこかホームビデオのようで、しかしそれが物語にフィットしています。

 

劇中劇の”Headless”はその後スピンオフ映画化した様子です

Netflix のサムネイル及びパッケージで描かれる血まみれのガスマスク男から連想されるであろうスプラッターはそれほど期待するべきではないでしょう。兄がレンタルビデオ屋から盗んだ劇中映画”Headless” のチープで悪趣味なゴアが数分ある程度で、ラストを除き殆どがマーティ少年の葛藤がメインを占めています。物語は少年の視点から描かれるため、家族の心理すべてが分かるわけではありません。誰しもが持っていて誰からも見えない側面というものを極端に象徴したものが生首であり、それによってジャンルがホラーにシフトした家庭内ヒューマンドラマといった様相です。何故兄は凶行に走ったのか、何故自分には優しい父親は兄を爪弾きにするのか、何故兄は自分を大切に守ってくれるのか、それなのに何故兄はどんなに泣いて説得しても止めてくれないのか。最後の凶行の時、「朝になればきっと理由がわかるよ」と兄はマーティに言いますが、そんなもの分かりません。これはマーティが語る物語です。

 

恐らく全員無名俳優だと思うのですが、それがまた良いです

がんじがらめになったマーティと節穴の両親。最後を締めくくる兄抜きの家族団欒カットは衝撃的で、かつこの映画が描いた家族像を象徴するものだったように思います。人物造形も、父と兄が対立しいがみ合ってるのに思想を受け継いでいたり、マーティも素行不良の兄とは違う優等生でありながら趣味は強く影響を受けていたり、家族というものを割と生々しく表現できているように思います。主観で進むストーリーは感情移入できないとメリハリを感じられずぼんやりとしてしまいがちですが、背徳的なカタルシスを感じる場面もあり、私も弟ということもあってか退屈せず観ることができました。兄役のイーサン・フィルベックの悪い兄ちゃん加減も絶妙です。

というか兄が父にどやされて弟が大人しくなるパターンって万国共通なんですかね? 私も何故兄は父と仲良くできないのか理解できませんでしたし、父も父で私が兄なら怒られるようなことをしても怒らないのは、結局兄からのヘイトを高めるだけなので平等に叱ってもらいたいところでした4。いまいち理解できない見えないズレをそれぞれ積み重ねざるを得ないのが家族という理不尽さ。離れてみて兄も随分な目に遭っていたなと悪く思う気持ちが芽生えましたし、兄も私が困っている時には助けてくれるようになりました。そんなキャラだったっけ? と思うことも少なくありませんけど、自立してようやく家族の形を飲み込めたのだと思います。兄が殺人鬼じゃなくて本当に良かったです。気づいてないだけかもしれませんが。

 

 

『ファウンド』(原題: Found.)

2012年公開

監督 スコット・シャーマ―

原作 トッド・リグニ―

出演 ギャヴィン・ブラウン

イーサン・フィルベック

 

 

 

  1. Electronic Entertainment Expo. 略して E3 。毎年ロサンゼルスで開催されるコンピューターゲームの見本市で、全世界のゲームファンの寿命を延ばす効果があります。
  2. この頃からピカチュウ使いは人格破綻してる説を唱えています。
  3. 今のテレビって半画面機能あるんでしょうか? ブラウン管を更に半分の画面にしてまで遊んでたというのは今思えは狂気的なゲームへの執着でした。最近のゲーム文字小さいので最低でもHDは無いと辛いですよね。
  4. お陰で兄には市民プールの一番深いところに連れて行かれて溺死させれらかけました。家族の言う「わざとじゃない」は10割嘘です。

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