映画『セブン・シスターズ』(2017) 掘り出し物的SFエンタメの名作

私は木曜日の峠越えた感が金曜日より好きです。

TSUTAYA で5本で1000円ってやつよくやってるじゃないですか。貧乏性なので動画配信サービスではなくわざわざ店舗に出向いて借りるとなると特に観ようと思ってなかった物も加えて5本揃えたくなるんですよね。彼らの手のひらの上で転がされてる感じがして癪に障らなくもないですが、思いがけず良い映画に出会えたりするのでそれはそれでウィンウィンなのかもしれません。今回ご紹介させていただく映画『セブン・シスターズ』(2017年 原題: What Happened to Monday)は丁度そういった出会いで観るに至った作品です。友人と自宅映画鑑賞会を開催しようと立ち寄ったTSUTAYAで『(R)adius ラディウス』の隣りにあったからという借り方で、観た後ですごく失礼だったなと反省しました。なんでこんなに面白いのに存在を知らなかったんでしょう1

舞台は未来、食糧難により遺伝子組換えをした収穫率の高い農作が推進され副作用として多胎妊娠が増加した社会。爆発的に伸びてしまった人口と加速する食糧不足への対策として政府は一人っ子政策を施行する。一人目を除く兄弟、姉妹たちは冷凍睡眠され食糧問題が解決する未来まで眠り続ける……

その頃ある病院にて七つ子が誕生する。妻の死と引き換えにこの世に生を受けたその七人を、父親は政府から隠して同時に育て上げることを決意する。曜日の名前を授けられ、各々の曜日にのみカレンという一人の女性として外へ出ることが許された七つ子たち。

しかしある日、月曜日マンデイが失踪した――

映画化されていない脚本を対象とした評価と映画製作マッチングをする『ブラックリスト』2プロジェクトにて、2010年で最も高い評価を得た脚本の一つだったとのこと。脚本としての面白さはお墨付きだったものが7年の時を経てついに作品として実現したというわけです。以下よりネタバレ注意。

 

七つ子が食卓を囲んでいる
それぞれの個性を発揮しながら闘う爽快SFアクション、であって欲しかった。

正直パッケージを見たときには、「七つ子」という設定の突拍子の無さも相まって、もっと馬鹿馬鹿しいアクション映画を予想していたんです。『七人のナナ』とか『ナナシス』みたいに3。七人の姉妹がそれぞれの個性を発揮しながら悪を挫いて円満解決、なんてそれはそれで時間つぶし的に楽しめるだろうと思っていたのですが、その期待は嬉しい方向で裏切られました。ある意味おバカアクション映画であってくれたなら、7人姉妹に感情移入せずに済んだのかもしれません。本作はシリアスな逃走と探索劇。水曜日あたりになると、ああ、これって残機7Pで命を削りながら立ち向かっていく作品なんだ……ということに気づいて、悲しくなってしまいました。特に土曜日と金曜日が可哀想で可哀想で。でも皆同じ顔なのにそれぞれに個性があって、どうか生き残ってと応援したくなるのは主演のノオミ・ラパスのお陰でしょうか。

 

それぞれの顔の誤差をメイクで隠すのが日課

本作はSFですが、それほどド派手なVFXが使われているわけではありません。上の画像のようになんかスタイリッシュなミラーとか、無駄にスケスケのディスプレイとか4、回らないタイヤやコンボ表示するサンドバッグ等、視覚効果はあくまでプロットと未来的世界観を補強するためのもので、見たことにないものを見せてくれるタイプではないのです。VFX花火大会みたいな映画も大好きですし最近はそれ目当てで劇場へ観に行くことが多いのですが、ストーリーの面白さとキャラクターの魅力だけで引っ張っていける映画って久しぶりに観たような気分です。

 

欲を言えば皆もうちょっと水曜日を大切にしてあげてほしい

少子高齢化傾向の日本ではあまり実感が湧きづらいですが世界的には増加し続ける人類。食糧・人口問題というのは私たちの世界から地続きでいずれ直面することになるでしょう。本作はハッピーエンドムードになりつつも根本の解決になっていなかったり、完全な悪人がいないので観る人によってはスッキリしないところかもしれません。しかしこれはあくまで7人姉妹の闘いであり、何もかも完璧に改善されるわけではないというのも現実を大きくはみ出ず共感できるポイントだと思います。果たしてエンディング後のあの映画の世界はどうなってしまうのか憂いてしまう。姉妹の世界への抵抗と解決というエンターテインメント性と、すでにある科学から未来を想像し現実を捉え直すというSFの醍醐味も備えた、おすすめの一作です。

 

 

『セブン・シスターズ』(原題: What Happened to Monday?)

2017年公開

監督 トミー・ウィルコラ

脚本 マックス・ボトキン
ケリー・ウィリアムソン

出演 ノオミ・ラパス

 

 

 

 

  1. 肝心のラディウスの方は、感想書いていないことからお察しください。
  2. wikipediaで調べてみると過去には『イミテーション・ゲーム』や『ソーシャル・ネットワーク』、『JUNO』や『パッセンジャー』などがリスト入りしていたそうです。未だ制作されていない首位作品たちの中に将来のヒット作や名作が隠されているかもしれないと思うとわくわくしますね。
  3. 違う。
  4. 裏側を見る必要があるならともかく、絶対見辛いと思うんですよね、透明なディスプレイって。

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